1日1回笑いましょう


by outigohannhe

1972年の家出No10 それから

次の日
学食で、いつものように食堂の仲良しのおばちゃんに、「揚げパン」の予約を頼みに急いでいると、A君の友達が「おばちゃん、頼むからお願いします。」切ない声が聞こえます。
「何、を頼んでるの」「食券を早いけど、売って下さい」
「割り込み、常習犯グループは、だめっ!」おばちゃんの大きな声が響きます。
A君の友達は、今度は私に頼みます。
「君が言ってくれないか」
「どーしてよ」
「……。」
「昼休み、鑑別所通りの部室に集まって」
「俺から聞いた事はないしょにしてくれよな」
昼休み、部室のドアを開けてびっくりしました。私はドアを閉めるのも忘れて立っていました。

いるのです。体操服を着た、あの5人組が。家出の5人組が。それも学食のカレーライスを食べているのです。
あの日みたいに。
3皿のカレーを5人で食べていました。
「やっと、白メシとおかずが食えた」
「のりたまご飯は、わびしかったねー」
だれが連絡したのか、A君のお姉さんが部室に入って来て、黙ってA君はお姉さんと部室を出て行きました。
出て行く時、目で私達に「すまん」と合図を送って。
A君の後ろ姿に、ぐっときた私は、感情的になった声で「だいたい、どれだけ大騒ぎになったかわかってるのー」、叫びました。
「ごめん」
「ツーリングでもやってたんでしょう!」
「ちがうよ。土木作業の面接に行ったんだけど、みんな高校生が、バレて、駄目だったんだ」
「他のバイトも捜したんだけど、金を持っていたのがB君だけやったし」
E君の説明は続きます。
「B君の所持金だけで、5人の生活費は、無理だったんだ」
サラのYGシャツと笑顔でリュックに詰めてたE君は、所持金は500円だったと言います。
5人組の中で、たった一人の他高校のE君の見慣れない、体操服姿、
よーく見ると、5人はそれぞれ、まばらな体操服姿です。
あちこちの部室から、拝借したらしく、汚れた体操服とちぐはぐな、体育館シューズをはいていました。
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by outigohannhe | 2006-07-21 01:26 | 1972年の家出