1日1回笑いましょう


by outigohannhe

1972年の家出No2

いつも冗談なのか、本気なのか不明なノリのB君の、始めて見た演技でもない顔色にびっくりして、私はさっとB君の手を取って、急いで玄関のドアを押して外に出ました。
「どーしたの」
「彼女が、別れるって言った」
絞りだすような声と、今にも涙がこぼれそうな目元は、やっぱり演技ではない、様子。
つい先日、高校の食堂で会った時、
「俺と彼女は、小さな恋のメロディなんだ。」とおどけて笑っていたのに。
「解ったから、塾が終わるまで、いつもの喫茶店で(当時はカフェをそう呼んだ)待ってて。」
うつむいたままB君はうなづいて、乗ってきたバイクの方へ歩きだした。
ほっとして、早く解きかけの問題を解かなくっちゃ。と振り向いたら、
胸元に、ご飯粒をつけたトレーナーを着て、裸足で立ってるA君がいた。
「Aちゃんは、何なの」
「煙草で謹慎処分になった事が親父にばれた」
「親父が本気で、殴ってきて、本気でよー」「殺されそうだった」
「窓から飛び出してきた」
「飯、食ってたけど、咄嗟に一口ほおばったけど、こぼれて…」
それがトレーナーについた御飯粒らしい。
「走って逃げてたら、俺を追い越したバイクが止まった」
「B君のバイクだってんで、俺も乗せて」

「バイクに乗ったら、B君が俺は死ぬとか言ってスピードをすげえ上げてー。きょおふだった」
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by outigohannhe | 2006-07-01 22:17 | 1972年の家出